公開日: 2024年11月13日

更新日: 2024年11月14日

薄いシミをレーザーで治療するのは難しい?理由を解説

 

薄いシミのほうが濃いシミよりも簡単に治療できるイメージがあるかもしれませんが、実は薄いシミの治療は難しいとされています。
しかし、まったく治せないわけではありません。

 

本記事では、薄いシミのレーザー治療が難しいとされている理由を解説するとともに、効果的なレーザーの種類や、そのほかの治療方法もお伝えします。「鏡を見るたびに、シミが気になる……」とお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

薄いシミをレーザーで治療するのが難しい理由

なぜ、薄いシミをレーザーで治療するのが難しいのかというと、それはシミが薄いとレーザーが反応しにくいためです。

 

シミの治療の際、レーザーは肌表面の黒い色に反応して、シミの原因となっている“メラニン色素”を破壊します。そして、破壊されたメラニン色素が時間をかけて徐々に体外に排出されたり、あるいは体内に吸収されたりすることで、シミが消えるという仕組みです。シミそのものが薄いとレーザーが反応しにくいため、濃いシミと同じように治療するのはなかなか難しくなるというわけです。

 

また、シミの種類によっては、一般的なレーザー治療を施すとかえって悪化してしまう場合もあります。元々薄かったシミがレーザーによって濃くなり、それを薄くするためにレーザーを当てて、どんどん濃くなる……といった悪循環にもなりかねません。

 

とはいえ近年は技術の発展により、薄いシミにもアプローチしてくれるレーザーや、レーザー以外での治療方法も生まれています。そのため「シミが気になるけど、薄いから治療は無理かな……」とあきらめる必要はございません。具体的な治療方法は、本記事後半で解説いたしますので、引き続きご覧ください。

関連記事:シミ治療にはレーザーしか効かない?注意点は?最新のシミ取り事情についてご紹介

 

シミの種類

シミにもいくつか種類があり、それぞれ原因や色の濃さ、治療の傾向が異なります。
ここでは、一般的によくみられるシミの種類を解説します。

 

老人性色素斑

30代頃から徐々に目立つようになるのが、老人性色素班です。
一般的に「シミ」というと、この老人性色素班を指します。紫外線を浴びることで発症することから、“日光性色素斑”とよばれることもあります。

 

大きさは、数ミリ~数センチのものまでさまざまです。色も薄茶色~茶色と濃さにばらつきがありますが、シミのない地肌との境界がはっきりとしているのが特徴です。

 

シミのなかではもっともレーザーの反応が良いため、比較的治療しやすい傾向にあります。

 

そばかす

そばかすは“雀卵斑”ともよばれることがあり、実はシミの一種に該当します。早い方で3歳~と比較的若い頃にでき、一般的には思春期にピークとなるため、老人性色素班が気になる中高年の年代になるとほとんど目立たなくなります。ただし、人によってはその後できる老人性色素班など、ほかのシミと重なることでかえって濃くなってしまうこともあるようです。

 

そばかすの主な原因は、遺伝と紫外線によるダメージです。小さなシミが目の下や頬の上部に散らばるようにみられるので、外見は老人性色素班と異なります。

 

そばかすもまた、シミと同じくレーザーで基本的に治療が可能です。ただし、一度改善しても再発することがあるので、継続的な紫外線対策が必要となります。

 

肝斑

肝斑は、30~50代の女性に多くみられるシミの一種です。
見た目は薄茶色かつ、境目がぼやけており、大きさ・形ともに左右対称で現れることが多いです。

 

肝斑の主な原因は、ホルモンバランスの乱れやストレス、また紫外線や摩擦による肌への刺激だと考えられています。ここで厄介なのは、肝斑は刺激に対して“皮膚を守る”という目的で生まれるシミである、という点です。
出力の強いレーザーを当てると、肌が“刺激”と判断してメラニン色素を生み出し、かえって悪化してしまう場合もあります。そのため、治療では主に、刺激とならないほどの弱い出力のレーザーや、内側から肌にアプローチする内服薬が用いられます。

 

ADM(後天性メラノサイトーシス)

若い頃を中心にみられるシミとしては、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とよばれるものも挙げられます。

 

ADMの特徴は、額や頬骨、目の下などに小さな薄いシミがいくつかまとまって現われる点です。
明確な原因はわかっていないものの、遺伝や紫外線、ホルモンバランスの乱れが関わっているとされています。また、ADMは厳密にはシミではなく、アザの一種です。シミは肌の表皮に発生するのに対してアザは真皮層に発生し、ADMもそれに該当します。

 

レーザーで治療することは可能ですが、真皮層にできているため何度かレーザーを当てる必要があり、治療に回数を要します。

 

薄いシミの治療に使われるレーザーの種類

ここでは、薄いシミの治療で使われるレーザーの種類をご紹介します。

 

ひとくちに薄いシミといっても、先ほど解説したシミの種類によっても適切な治療方法が異なりますので、それぞれの特徴を把握しておく必要があります。

 

Qスイッチヤグレーザー

老人性色素班やそばかす、ADMの治療に用いられるQスイッチヤグレーザーでは、薄いシミを治療することも可能です。穏やかに吸収される1,064nmと吸収が高い532nm、2種類のレーザーを効果的に使い分けることで、薄いシミにも濃いシミにもアプローチできるのです。シミの濃さや大きさによって出力が調整されるので、肌への負担を最小限に抑えられます。

 

Qスイッチヤグレーザーで破壊されたメラニン色素は、肌のターンオーバーによって排出され、施術後4週間程度でシミが目立たなくなります。
薄いシミであれば1回の施術で効果を実感できることが多いです。濃いシミや大きいシミの場合は3回ほど通院する必要がありますが、少しずつ色を薄くしていくことでいずれシミが気にならなくなります。

 

なお、シミのなかでも肝斑は刺激に非常に弱いので、Qスイッチヤグレーザーでの治療に向いていません。肝斑の場合はこのあとご紹介するピコトーニング、あるいはレーザートーニングで治療することとなります。

 

ピコレーザー

ピコレーザーでは、肌への刺激をより抑えながら薄いシミも治療することができます。

 

そもそも“ピコ”とは、数値の小ささを示す単位のことです。
ナノ秒(10億分の1秒)で出力するヤグレーザーに対し、ピコレーザーではピコ秒(1兆分の1秒)で出力できる旨を示しています。ナノ秒よりも短いピコ秒間隔でレーザーを照射することで、より小さな粒子の破壊が叶い、さらに効率的なアプローチにより、肌への負担を抑えた施術を実現しているのです。

 

なお、ピコレーザーは“ピコフラクショナル”“ピコスポット”“ピコトーニング”の3種類に分けられ、シミの治療においてはピコスポットとピコトーニングが用いられます。ピコスポットは、出力の強いレーザーを一つひとつのシミにピンポイントでアプローチする施術で、主に見た目のはっきりとしたシミの治療に向いています。もう一方のピコトーニングは、出力の弱いレーザーを肌全体に均一に照射することで、顔全体のシミや薄いシミを治療する施術です。

 

ピコレーザーを用いて薄いシミを治療する場合は、ピコスポットとピコトーニングを組み合わせるのが一般的です。まず目立つシミにピコスポットを照射し、その後薄くなったシミや、ピコスポットではアプローチできなかったシミをピコトーニングで薄くします。

 

シミが小さい、あるいは薄いと1回の施術で一定の効果がみられる場合もあります。
シミが広範囲にわたる場合は複数回の施術が必要になりますが、それでも3~4回程度で改善できることがほとんどです。

 

レーザートーニング

レーザートーニングは、肝斑へのアプローチに有力とされている治療方法です。

 

従来のレーザーでは肝斑に強い刺激を与えてしまい、炎症が悪化するというリスクがありましたが、レーザートーニングでは炎症が起きないほどの弱い出力で照射します。弱い出力のレーザーで、メラニンを少しずつ壊すことで肝斑を治療することができます。

 

さらに、レーザートーニングが効果を発揮するのは肝斑だけではありません。ほかの薄いシミや、くすみなどによる肌の色ムラを改善に導いてくれるといった役割もあります。

 

なお、レーザートーニングは1回の出力が弱い関係上、Qスイッチヤグレーザーやピコレーザーのように、すぐに治療完了とはなりません。1~2週間ほど間隔を空けつつ、5~10回かけて根気よく治療していく必要があります。

 

レーザー以外のシミの治療方法

シミの治療方法は、レーザーだけではありません。
ここでは、主に美容クリニックで行われる、レーザー以外のシミの治療方法をご紹介します。

 

IPL光治療

IPL光治療は、IPL(インテンス・パルス・ライト)とよばれる光を顔全体に当てて、シミやたるみ、毛穴などのお悩みを改善する治療方法です。“光を当てる施術”と聞くと、レーザー治療と似ていると思われるかもしれませんが、両者は治療に用いる光が違うので、効果も異なります。

 

IPL光治療で用いる光の大きな特徴は、レーザーよりも波長が短く、また“パルス幅”とよばれる照射時間が長いという点です。これにより、IPL光治療では広い範囲に浅いアプローチが可能となっており、薄いシミの改善や肌のトーンアップを目指すことができます。また、肌の内部に到達した光が肌を刺激するので、コラーゲンの生成が促され、美肌効果を得られるというメリットもあります。

 

外用薬

ほかの肌トラブルと同じように、シミにも外用薬を塗布するという治療方法があります。

 

シミの治療によく用いられるのは、ハイドロキノンとトレチノインの2種類です。ハイドロキノンは、メラニン色素の発生を抑えるはたらきのある成分で、既にできたシミの改善のほか、シミの予防にも用いられます。

 

トレチノインはビタミンAの誘導体となる成分で、塗布した箇所の角質をはがすことで皮膚の再生を促進させるはたらきがあります。こちらは、既にできたシミの改善や、顔のくすみの予防に用いられることが多いです。なお、角質をはがすという特性上、治療中は塗布した箇所がヒリヒリする場合があります。

 

内服薬

シミの治療においては、シナールやユベラ、そしてトラネキサム酸といった成分が含まれた内服薬も用いられます。

 

シナールはいわゆる複合ビタミン剤で、メラニン色素の生成を抑えるだけでなく、既に作られたメラニン色素を還元することでシミを薄くしてくれます。またユベラはビタミンEを主成分としており、代謝を促進して、シミを薄くする効果のある薬です。トラネキサム酸は、メラニン色素を生成する“メラノサイト”という細胞の活性化を抑える薬で、主にシミを予防するために使われます。

 

自宅でできるシミの対策方法

一度できてしまったシミは治療する必要がありますが、これからできるシミは日々の生活のなかで予防することも可能です。
以下で、シミの対策となる3つのポイントをお伝えします。

 

紫外線対策を徹底する

『シミの種類』の章でお伝えしたように、紫外線はシミの発生あるいは悪化の大きな原因となりえます。そのため、シミの予防において紫外線対策は基本中の基本といえます。

 

日焼け止めクリームやUVカット効果のある化粧品の使用はもちろんのこと、日傘や帽子、アームカバーなどを用いた物理的な対策も有効です。紫外線は一年中降り注いでいるので、夏以外の季節や曇りの日にもきちんと対策しましょう。

 

ただし、紫外線をまったく浴びないと、ビタミンDの生成が妨げられてしまいます。過度に防ごうとせず、あくまでも日常的な範囲での紫外線対策を意識するとよいでしょう。

 

適切なスキンケアを行う

シミを予防するには、毎日のスキンケアにも気を付けたいところです。

 

皮膚への刺激や摩擦もまた、シミの発生や悪化の一因です。洗顔の際は、洗顔フォームをしっかりと泡立てて、顔への摩擦を極力避けましょう。水滴を拭き取る際も摩擦を避け、清潔なタオルで優しく丁寧に押さえるのがポイントです。

 

食生活を改善する

抗酸化作用のある、ビタミンCやビタミンEが含まれている食材を積極的に取り入れることでも、シミの予防につながります。

 

ビタミンCやビタミンEを多く含む食材の具体例は、以下をご覧ください。

 

【抗酸化作用が期待できる食材】

ビタミンC

ビタミンE

・キウイ

・カボチャ

・ブロッコリーの茎

・ゴーヤ

・蕎麦

・ナッツ類

・カボチャ

・モロヘイヤ

 

必要な栄養素はできるだけ食事から取り入れたいものですが、難しければサプリメントを併用してもよいでしょう。

 

適切な治療方法であれば、薄いシミもレーザーでの治療が可能

今回は、薄いシミの治療方法について、さまざまな情報をお伝えしました。

 

薄いシミは、濃いシミと比べてレーザーが反応しにくいため、レーザー治療が難しいとされています。とはいえ、弱い出力でレーザーを照射すれば治療は可能です。薄いシミであっても、まったく治療できないということはございませんので、ご安心ください。

 

関西にお住まいで、エイジングの悩みのある方には藤井クリニックがお力になります。
梅田院と神戸院があり、お悩みごとに適した治療を行っております。
初診は無料ですので、まずは一度カウンセリングにお越しください。

この記事を書いた人

藤井 靖成

藤井 靖成

大阪・梅田 藤井クリニック院長

総合内科内科専門医であると同時に消化器内視鏡専門医・指導医として従事。
胃がん大腸がんに対する内視鏡検査・手術を通して磨いた技術と豊富な経験を活かしながら、美容外科の技術も習得し約40000例の美容外科施術経験を積む。また、皮膚額をベースとするスキンケア医療に取り組む。
「楽しく生きる」をコンセプトに、自身が理想とする医療を追い求めるため、2007年5月 大阪・梅田に「藤井クリニック」を開院。
開院以来、美容整形手術ではない、自然な綺麗さや若返りを目的としたメスを使わない美容医療を提供し、約15年間で70000例以上の実績を持つ。

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